不定根誘導施工と効果観察


支柱目的

東京都目黒区 個人宅(サクラ類)

支柱効果を目的とした不定根誘導

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事前調査 2004.10~2005.2
支柱をする必要に迫られていただけでなく、枯枝が多くなり大枝が枯れるなど樹勢が衰えていたために、樹勢回復の処置を合わせて考える必要があった。 新しい根を発生させることにより、樹勢の回復も望めるのではないか。(樹種はおそらくソメイヨシノ)
施工開始 2005.7
最初に考えるのは、どうやって樹幹流を捉えて発根予定箇所に導くか。樹種にもよると思うが、暗くて湿り気があれば根は意外に簡単に生えてくる。乾燥させて失敗することが多い。ここでは家人が水をやってくれるとのことで、さらに給水用のホースを取り付けることにした。
確認1 2007.9
根はいろいろなところから出て来る。事前に発根場所を予測するのは難しい。施工前には水苔を取るつもりでいたが、実際には根と絡んでいて取り切れるものではない。無理に取ればせっかくの根を傷つけてしまう。
確認2 2007.9~2009.10
4年経過すると支柱の目的は完全に果すようになっているようだ。生きている支柱として、長持ちする事を期待したい。
確認3 2011.4開花時
株立の他の幹が枯れたり樹勢が悪くなっている中で、立派に花を咲かせている。 花を見るには撮影時期が少し遅かったが、支柱の目的は完全に果たし、樹勢の維持にも貢献しているようだ。
確認4 2011.10~2012.5
発根した根から枝を伸ばしてそこで展開すると、幹に悪い影響が出る可能性があるので抑制する必要がある。少しやっかいな問題だ。 しかしここまで来れば強度上の問題に関して水苔の心配をする必要はないように思う。人が作った木製の支柱よりはよほど丈夫なはずだ。

独立支援目的

東京都渋谷区 個人宅(サクラ類)

胴吹き枝の独立支援を目的とした不定根誘導

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事前の診断 2005.5~9
2005年5月診断。主幹は葉が小さくなり枯枝も多く、このままにしておけば必ず枯死する状態になっていた。 6月には根元にベッコウタケ(根株の心材を腐らせることにより倒木の原因となる菌の子実体)が発生してきた。 何とか助けたいという施主の意向があった。 子どものころ遊んだそうで施主にとっては非常に思い出深い木。 庭に実生で生えて来たとの記憶があるらしい。
このサクラの品種は?
なるほど、花を見るとソメイヨシノの実生かも知れないと思えた。 真っ白い花などもあり、全体的に色が白っぽい印象がある。
治療開始-胴吹き枝を独立させる 2006.2~4
施主の意向を生かすためには植え替え、取り木、実生などよりも、連続性を感じやすい元気な胴吹き枝を独立させる方法が最も適していると考えた。 独立させなければ、いずれ本体と一緒に枯れてしまうだろう。 独立と大げさに言うからには、胴吹き枝自身が自分の根を地中に伸ばし自身で光合成を行い、成長の循環を本体に依存することなく継続して行える必要がある。 しかし、ベッコウタケから逃れられるかどうかは気になるところ。
発根の成功とその後1 2007.10~2008.6
胴吹き枝からの発根は非常に早く、枝の成長も非常に早い。擬人的に言うなら「親が当てにならず本人は水が欲しいからに不定根誘導にすぐ飛びつく」といったところか。
発根の成功とその後2 2012~2015
ベッコウタケからは逃げおおせるだろうか。